最高裁判所第三小法廷 昭和37(オ)22 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人山下直次の上告理由第一点について。
論旨は、要するに、被上告人が本件建物の所有権を取得した旨判断した原判決は、
被上告人の前主である訴外Dが抵当権実行による本件建物の競売手続において競落
によりこれが所有権を取得したものとした説示において理由そご、法令違背の違法
を犯したものである、というのである。
しかし、不動産の所有者である甲が乙のために右不動産につき抵当権を設定した
後に、甲から丙に対する所有権移転登記がなされ、乙の競売申立により右不動産が
競売に付せられ、丁がこれを競落して競売手続が完結した場合に、たとい甲丙間の
譲渡が無効であって競売申立当時の不動産の真正な所有者は甲であるとしても、丁
は競落により右不動産の所有権を取得したものというべく、競売申立当時の所有名
義人丙が真正な所有者でないことは丁の所有権取得の効力に何ら影響がないものと
解するのを相当とする。
本件において、訴外E信用金庫がF(控訴人)に対し合計一五〇万円の貸金債権
を有し、右債権担保のためF所有の本件不動産につき順位第一、二番の抵当権の設
定を受けたこと、その後E信用金庫の申立により右抵当権が実行され、訴外Dが右
建物を競落し、ついで被上告人が同人からこれを買い受けてその旨の所有権取得登
記を経由したこと、右競売手続が異議または抗告の申立なくして完結したことは原
審の確定するところである。そうすると、右競売申立当時の本件建物の所有者がF
であるかG金融株式会社であるかにかかわらず、Dが競落により右建物の所有権を
取得し、ついで被上告人が同人からこれを譲り受けて所有権を取得したものといわ
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なければならない。従って、被上告人が本件建物の所有者であるとした原審の判断
は、その説示において所論のようなかしがあるとしても、結局において正当である
ことに帰するものといわなければならない。従って、論旨は理由がない。
よって、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 柏 原 語 六
裁判官 石 坂 修 一
裁判官 横 田 正 俊
裁判官 田 中 二 郎
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